食物アレルギーは他人事ではない!「食」と「体調」はどう関係している?食と健康について医師にお聞きしました!【後編】


■はじめに

品川区青物横丁、篠原クリニックの篠原隆雄先生は、219項目に及ぶ先進的なアレルギー検査(IgG/IgA)と治療を通して、クリニックを訪れる患者さんのあらゆる不調の改善に日々務められています。そして、治療と並行して、篠原先生は自ら、健康の根源ともいえる安全で自然な「食」と「農」への取り組みを始められているユニークな発想を持つお医者様でもあります。インタビュー<前編>では、食物アレルギー検査と治療の最前線について、また、具体的な食事の注意点についておうかがいしました。<後編>ではさらに、「食」と「農」に対する先生の大きなビジョンについてうかがいます。

【インタビューに協力してくださった先生】
篠原クリニック 院長 篠原隆雄医師

【インタビュアー】:お届けごはん代表 さろん楓 印南真帆

インタビュー前編はこちらから

■安全な「食」を模索すれば「農」に行きつくことになる

篠原クリニック

印南:インタビュー後半では、すべての人の健康に関わることでありながら、なかなかわかりづらい話になってしまっている「食」の安全性に関してお話をして頂きたいと思っています。昨年、その土地固有の「種」が保護されなくなるという法の改正に続いて、直近では、遺伝子組み換え食品の表示義務をなくす検討がなされていると聞きました。つまり、私たち消費者にとっては、遺伝子組み換え食品かどうか、まったくわからなくなるということですよね……。

篠原:最近は小麦や大豆を中心に、海外から遺伝子組み換え食品が多く入ってきています。ちょっと食べたぐらいですぐ人体に影響が出るというものではありませんが、長期的に見るとどうなるかわからない。ただ、ホームページにその都度公開している私自身の血液検査の結果からも、たとえば、新たに品種改良されたであろう小麦と昔から存在する古代小麦の数値データを比べれば、答えはおのずから明らかです。そんな理由からも、遺伝子組み換え食品の安全性に、私は大変な危惧を覚えているのですが、今、一人の医者としてはどうすることもできません。ただ、「食」の安全を突き詰めると、「農」に行きつくわけで、「食」「農」が変わっていけば、もっと多くの方に健康を提言できるのかもしれないと考えているわけです。

印南:篠原先生は農業にも取り組もうとされているのですよね。

篠原:そうです。特に、私がやりたいのは自然農法です。無農薬はもちろん、無肥料、不耕起(農地を耕さないで作物を栽培する農法)を徹底する。農業にせよ食事にせよ、自然が作ったものに対して人間が無理に手を加えようとするから、おかしなことになるんですよね。

印南:本来であれば、農薬、肥料を使わずに、土と太陽と水の力だけで育つ作物のほうがコストがかかっていないはずなのですが、今は、そうした自然のままに栽培された野菜のほうが高く、私たちもそれが当たり前と思ってしまっている「不自然さ」があります。

篠原:そうです。そもそも不自然なことになっています。よく、無農薬、無肥料、不耕起で野菜ができるのか?と聞かれますが、不耕起栽培では雑草をすべて除去するのではなく、上の部分だけ刈って根っこは残します。するとその根が土を耕してくれるんです。また、クローバーや豆をまくと、根っこについた根粒菌が土のなかに窒素を補填してくれて、土が豊かになります。なるべく人が手をかけない。それが一番健康的な農業だと考えています。

印南:そうした自然農法は、これまで「自然派」と呼ばれるような一部の人たちだけに広まっていたものでしたが、今、状況が変わりつつありますね。

篠原:自然農法は海外でも注目されていて、環境問題への関心の高まりとともにニーズも高まっています。日本でも少しずつ自然農法に取り組む農家が増えていて、たとえば石川県羽咋市ではJA主導による米の自然栽培がおこなわれているのですが、ここでとれた米はヨーロッパへ高値で売れています。日本の農産物は世界的にも評価が高いですから、今後は自然農法による作物は日本の戦略物資に育つ可能性もあると思います。

印南:農業が変わると、作物も、食の在り方も、周囲の環境も、大いに変わってきますよね。

篠原:その通りです。特に肥料は地球の土と水を汚染する原因となっています。田畑にまかれた大量の肥料が地下水を通じて川に流れ込み、やがて海に入る。すると海の水質が悪化して、赤潮などの原因になるわけです。私は今、こうした農業のあり方を変えるために、山梨の農地を借りて自ら自然農法を実践しようと考えています。しかし、農業をするだけでは皆さんの「食」まではなかなか変わらない。そこで私は近日中に、「農業」と「食」つなぐ会社を立ち上げることにしました。

印南:篠原先生のその壮大なプランについて、教えてください。

篠原:自分たちが自然農法で作った農産品を使い、料理を提供する定食屋と居酒屋を展開します。名付けて「ドクターズ定食」と「ドクターズつまみ」。今も一部の高級レストランの中に自然農法の食材を提供しているところはありますが、毎日通うのはちょっと難しい価格帯になっているのが実情です。しかし、健康を保つためにはなるべく頻繁にいいものを食べたほうがいい。これは、印南さんにも協力をお願いしているプロジェクトですが、からだにもお財布にも優しい飲食店にしたいと考えているんです。

印南:はい。先生のそのお考えを聞いて、私自身が「自然栽培の野菜は高いから、それを当たり前に普及させるなんて到底無理」と勝手に決めつけていたことに気づきました。大人だからこそ、ちゃんと夢を見て、次世代のために本当に大切なものを残していかなければと考えるようになりました。「お届けごはん」では、すべての食材が自然栽培ではないですが、お米は自然栽培のものを使っています。

篠原:それは素晴らしい。お届けごはんもいずれは2号店、3号店を増やさないといけませんね。我々も、いずれはファーストフード店のように全国展開するのが目標です。「安心・安全・健康」は今の日本において重要なキーワードになっていますから、自然農法による飲食店も、認知さえ広まればうまくいくと確信しています。実際、私の身の回りでも、自然農法に関心を持つ人が増えているんですよ。私自身も自然栽培で育った稲を刈る体験をしたのですが、「食べ物を作るってこんなに大変なんだ」と実感でき、農業の面白さが肌でわかりました。スーパーで買うだけでは、なかなかそういう感覚は持てないんですよね。

■日常の食生活で気を付けるべきこと

篠原クリニック2

印南:最後に改めて、これを読んでいる読者の方が、日常の食生活の中で今この瞬間からどんなことに気を付けたらいいか、アドバイスをいただけますか?

篠原:まず食材の調達方法について言うと、今はインターネットでいろんな農家から直接作物を取り寄せられます。なるべく無農薬、無肥料のものを選んで、いくつか試してみて、気に入ったサービスを継続すればよいのではないでしょうか。調味料もなるべく無添加のものを選びましょう。塩は海水由来のもの、油は酸化しにくいオリーブオイルがお勧め。味噌は遺伝子組み換えされていない大豆を使ったものがよいでしょう。

印南:大豆について、国産のほうがよいなど、先生のお考えをお聞かせください。

篠原:少し話がずれますが、フードマイレージ、つまり輸送にどれだけガソリンを使ったのかという観点から見ても、国産のほうがいいと思います。仮に、その食材がオーガニックでどんなにからだによいものでも、輸送のために大量の二酸化炭素を排出した食物は、それだけ環境に悪影響を及ぼしているわけですから。また、地産地消、身土不二(土と体は一つという考え方)の観点から見ると、その人が生まれ育った土地に近い場所でとれたものを食べるのが、やはり、からだになじむようです。その点でも、国産のほうがいいと思います。

印南:それ以外に、積極的に食べたほうがいい食材はありますか?

篠原:よく言われるのは、「まごはやさしい」ですね。「ま=豆」「ご=ゴマ」「わ=ワカメ(などの海藻)」「や=野菜」「さ=魚」「し=シイタケ(などのキノコ類)」「い=イモ類」を中心に食べるといいですね。

印南:「お届けごはん」でも意識している考え方ですが、改めて、どれも日本食でよく使われるものばかりですね。豆をそのまま食べなくても、お味噌汁があれば、それはそのまま大豆を食べていることになる。

篠原:昔から引き継がれてきた日本人の知恵ですよね。大切にしていかなければと思います。

印南:先生は、患者さんに食事の写真を送ってもらって、それに対するアドバイスをされているそうですが、病気とまではいかなくても、日々、なんとなくの不調を抱えている方に対して、何か食事で気を付けたほうがいいことはありますか?

篠原:最初にお話しした通り、乳製品、卵、小麦がアレルゲンの可能性は高いです。食物アレルギーとまでいかなくても、なんらかの不調がある場合には、一週間その3つを食べるのをやめて、和食を食べてみるのがいいでしょう。ただ、お子さんの場合は、給食で出てくるものを食べないのは難しいケースもあるので、できたら夏休みなどの長期休暇に試すのがいいですね。多くの学校給食では牛乳を推奨しますが、日本人はもともと動物の乳を飲む習慣がなかったので、消化する酵素がない人が多いんです。そういう知識をもっと多くの人に知っていただきたいと思います。

印南:牛乳は体にいいというイメージが強いですし、卵、小麦は、知らずともいろいろな食品に既に含まれていますから、気づかぬ間に摂取していることが多いですね……。

篠原:それから、プラスチックなどの環境汚染物質にも気を付けたほうがいいです。当院ではこうした物質の検査も行っているのですが、かなり多くの方がプラスチックを体内に摂取していることがわかっています。

印南:プラスチックなどの環境によるダメージも数値化されるのですね。それが広まると世の中が変わっていきそうに思えます。

篠原:まず、たとえばプラスチック容器に入って売られているお弁当などは、気を付けたほうがいいですね。電子レンジで温めるとプラスチック容器が溶けて、食べ物に付着するわけです。製造段階でも熱い食材を容器に入れるので、そこでプラスチックが付着している可能性もあります。ペットボトルに入った飲み物も、少しずつプラスチックが溶けるのでお勧めできません。あと、食べ物をタッパーに入れて温め直すのも、あまりよくないでしょう。ガラス製の容器を使うのがベストです。

印南:レンチン(レンジでチン!)文化全盛ですが、その不自然な熱の伝わり方はどうなんだ?と、そこから問い直さないといけないですね。お届けごはんのキッチンには電子レンジはないのです。レンチンに替わる手法は、「蒸す」です。それを知って、面倒と思っていたけれど、こんなに美味しいならと蒸すことが苦にならなくなったという方も多いです。

篠原:「時短、簡単、便利」VS「本当に美味しい、からだにいい、体調がいい」のどっちを選びたいか、そのために、判断材料になる知識をいろいろ知ってもらえたらいい。ジャンクフードだって食べたっていい。でも、こういうことを知識として知っておくだけでも、健康を守ろうという意識が働くようになります。できることから少しずつ実践して、健やかなからだを手に入れられるようになってほしいと思います。

印南:先生、今日はお忙しい中、ありがとうございました!

■まとめ

2回にわたりお送りしてきたインタビュー、いかがでしたか?
「お届けごはん」では、日々、10人、20人のごはんを作るので、大量の食材を選ぶことが毎日の仕事でもあり、責任でもあります。決まった人数のごはんを作るので、食材のロスは限りなく少ない形態ですが、野菜を作っている農家のこと、お肉や卵のこと、流通のことは、考えなかったらおかしい、そんな仕事です。でも、知らないこと、見えないことがあまりにも多いのです。だから、まずはちゃんと知っていきたい。そして、「からだ、健康」・「食」・「農」のいい循環が起こる選択をしていきたいと改めて思いました。
篠原先生のドクターズ定食、ドクターズつまみ、楽しみですよね。
完成したら、またこのブログでお知らせいたしますね。


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