お届けごはんが、大切にしていること【後編】~日々のメニュー作りと調理法~


■はじめに

「お届けごはん」代表、さろん楓の印南真帆です。
前回の記事では、お届けごはんをご利用いただいている企業の担当の方からインタビューを受けて、お届けごはんが大切にしていること、
食材選びのコツなどについてお話させていただきました。今回の後編では、日々のメニューの組み立て方、調味料の使い方について詳しくお話してみました。
皆さんもぜひ、参考にしてみてくださいね。

【インタビュアー】
Aさん(都内IT企業勤務。毎日「お届けごはん」を食べている男性社員)

【インタビュー回答者】
お届けごはん 印南真帆 & 中澤香奈

お届けごはんが、大切にしていること【前編】~食材選びと、メニューの考え方~

■メニューづくりでは、味、色、におい、調理法のバランスが大事

――お届けごはんでは、当社も含めいろいろな会社さんを対象に料理を作られています。多くの場合、メニューは「お任せ」なんですよね?

印南:そうですね。食べる方の人数や、アレルギーの有無、食べられないもの、どんな環境で召し上がるのかなどの基本的な情報はいただきますが、
それ以外は私たちが毎日のメニューを考え、お届けしています。

――どうやってメニューを考えているのでしょうか。大切にしているポイントなどはありますか?

印南:一食分のレシピを考えるとき大切にしているのは、やはりバランスですね。味のバランスと、調理法のバランス。
たとえば、揚げ物があれば酢の物をつけるとか、炒め物には蒸し物を合わせるとか。
甘みが強いものがあったら、辛いもの、渋みのあるものも加えてバランスをとる。
食材の彩りも大事ですね。色味が美しいほうが食欲もわきますし、色数はそのまま栄養素の数でもあります。

中澤:味、色、におい、調理法。そのバランスをいつも考えていますね。
イベントなどで料理を任された場合は、いくつか候補を頭のなかで考えてみて、
紙に書き出してみてバランスをいろいろな角度からチェックし、最終的に決定することが多いですね。

印南:うんうん、私もそういう風にやりますね。多めにリストアップして、取捨選択して決めていきます。

――すごい。いろんなことを瞬時に判断されているんですね。メニューは、どれぐらい前から考えるんですか?

中澤:基本的に、前日に次の日のメニューを考えています。

印南:ただ、何となくその週全体で「どこか1日、こんな感じの料理を入れたいな」というイメージがあったりはしますよ。

――食材は数日分まとめて購入するんですか?

中澤:野菜は毎日購入していますね。

――手間がかかるけど、だからこそ新鮮な野菜が使えるわけですね。

■お客様に毎日喜んでいただくための、メニュー作りの工夫

――前日に決めたメニューは必ずその通りに作るんですか?

印南:いえ、その日の気候によって臨機応変に変えることもあります。
冬の寒い毎日であっても、太陽が出てない今日は格別寒いからほっこりした煮物にしようとか、じゃがいもは茹でようと思っていたけれど、
全体のバランスでちょっとパンチが欲しいから揚げてみようか、とか。

――1週間、1か月の間、飽きさせないメニューはどう考えていくんでしょうか。

印南:パズルのように埋めていく感じでしょうか。
週に2つぐらい、ひとつはお魚、ひとつはお肉というように、華のある、旬の料理を決めておいて、
それが揚げ物だったら、翌日は、茹でてさっぱりにしたり、焼いてみるというように調理法を変えます。
そして、和風の料理がきたら、次は、中華かエスニック風か、洋風にしてみる。

素材は、ある日豚肉を使ったのならば、翌日は、鶏肉にしてみる。
同じ鶏や豚肉だったとしても、使う部位を変えてみる。お魚でも、魚介類を使ってみる、など、調理法と風味と素材を掛け合わせることで、メニューは無数の組み合わせが生み出せるのです。
いや、当初は、私自身もメニューに行き詰まるのではないかと思っていたのですが、やってみたら、意外とそんなことはなかった。あとは、いろいろな旬の食材があるこの日本の四季のおかげです。

――なるほどー。さすがプロフェッショナルですね。僕もお届けごはんのランチはいつも楽しみなんですが、やっぱり普段なかなか家で食べられない、いろんな調理法の料理が出てくるのはうれしいですよね。

印南:皆さんが外食やおうちで普段あまり食べないような旬メニューや、おばあちゃんの智慧的なメニューを敢えて選ぶようにしていますね。
でも、それだけだとやはりテンションが上がらないでしょうから、たまにはから揚げやハンバーグといったストレートな定番料理も出す(笑)。

中澤:定番料理と普段選ばない料理のバランスは面白いですね。先日、評判がよかったイワシの梅煮ですが、
魚の食べ方としてはよく知られている伝統的な料理はありますが、お店に食べに行って敢えて注文する人は少ないのかもしれない。
そういう料理を食べて頂けるのはとてもいいことだなぁと感じます。

■無理に「名前のある料理」を作らなくてもいい

――家族の食事を毎日作っている主婦の方からは、「メニューを考えるのが大変」という声もよく聞こえてきます。
そういう方にアドバイスがあれば教えてください。

印南:「何を作ろうか」とメニューありきで考え始めると行き詰りやすいので、素材ありきで考えるのがいいと思います。
買ってきた食材をどう食べるか、調理法で考えてみる。煮る、焼く、炒める、蒸す、茹でる、和えるの中から何を選ぶか。
それに加えて、味付け。同じ炒めるのでも、いろいろな味付けがあります。

塩、醤油、味噌、あるいはナンプラーなどエスニック系。茹でる場合なら、胡麻和え、おひたし、磯和え、からし和え、ナムルなどがあります。
そう考えるとけっこう選択肢がたくさんあるでしょう? 

お店に行くとたいていの料理には名前がついてますけど、おうちで食べる料理には名前なんてなくていい。
「名前のある料理、知っている料理を作ろう」と考えると、行き詰まっちゃうと思うのです。

――「名前のあるものを作ろうとしない」。これは名言ですね。

中澤:「今日は“何風”で行こうかな」と考えると広がってくると思います。
和風、洋風、韓国風、中華風、エスニック風、と想像をし始めると、使うべき調味料が自然に決まります。

――確かにそれなら毎日変わった味の料理を楽しめそうです。でも、料理が苦手な人は調味料をうまく使いこなせていないというイメージもあります。
身近な調味料のなかで、お二人が特に好きな調味料や、便利だと思う調味料があれば教えてください。

中澤:私は味噌ですね。

――味噌ですか。普通は味噌汁か味噌漬けぐらいしか使い道がなさそうですが……。

中澤:洋風の料理にも使いますよ。たとえば今日作ったグラタンは、塩と白みそで味付けしました。少量の味噌を加えると、深みのある味わいになるんです。

――それは意外な使い方ですね。

中澤:あとは味噌炒めですね。中華料理で使う「醤(ジャン)」も味噌の一種です。味噌は発酵食品なので、いろいろな味が複雑に混ざり合っています。
ですから、ちょっと入れるだけでも味が広がるんです。たとえばお醤油だけ使った炒め物と、お醤油と味噌を使った炒め物だと、味が全然違います。

印南:中華料理を作るとき、私たちは市販の「〇〇の素」といった加工食品や人工的なうま味調味料は使いません。
うまみの元であるアミノ酸を豊富に含んだ味噌を、その代わりに使うことで無添加中華が生み出せる。

中澤:味噌は本当になんにでも使えますよね。たとえばトマトとの相性もいい。
そんな風に、和の素材と洋の素材を組み合わせるのもメニューを広げるテクニックの一つです。味噌とオリーブオイルもよく合いますね。

ちょっと酢を入れるといいドレッシングになります。名前はないものだけど、料理はおいしければ「あり」です。

印南:ネギ、ショウガをみじん切りにしてごま油で炒めれば、それだけで中華の世界が広がる。そこに唐辛子、ニンニク、味噌があれば無敵です。

中澤:あと、うま味調味料として無視できないのが、トマト。火を入れるとうまみが出ます。炒め物に入れてじっくり火を通すと、とろっとしておいしいです。

――印南さんが一押しの調味料は何ですか?

印南:私は、基本の「き」ではありますが、やはり塩ですね。
一般的に塩はしょっぱいだけのものと思われていますが、海塩(かいえん)は、食材が締まって、その甘みが最大限に引き出されるのです。

私はよく、「1パーセントの塩」がキモである、と話しているのですが、浅漬けやポテトサラダなどでも、素材に対して1パーセントの塩を加えることで、
うまみ、甘みがびっくりするほど引き立ちます。料理は科学なんですよ。だから、いつも面白いんです。

――今日はありがとうございました!

■まとめ

2回にわたりお送りしてきたインタビュー、いかがでしたか?
インタビューを終えたあと、スタッフの中澤が言っていたこと。
…ごはんを作るにあたって大切なこと、それは「上手」や「正解」を求めることでもなく、レシピ通りにやればいいということでもなく、
季節を感じて、目の前にある素材や相手や自分の状態をよく見る、変化に気づくということが大切、ってことだなぁと思いました…。

それは、そのまま生きることであるようにも思います。
皆さんがそれぞれの美味しい!に出逢える何かのヒントやエッセンスがあったら嬉しいです。


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